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パリでの交換留学

Class of 2011のTEです。

ちょっと時期外れになってしまいましたが、先の6月から7月にかけて交換留学に参加してきましたので、そのことについて書こうと思います。

交換留学とはOwenと提携しているMBAスクールに夏期休暇中に短期留学を行い、そこでの履修がOwenでの単位にも認定されるものです。

私は同級生のTHさんと一緒にパリ郊外Cergyに所在するESSECに参加してきました。ESSECは商業系グランゼコールとしてフランスでは名門の一つとされる学校とのことです。

参加者は色々な国や地域から40名ほど。OwenではInternationalは全体の25%程ですが、ここではより多様性があり、米国人の方がむしろ少数派になるちょっといつもと違った環境でした。授業の内容については後でご参考までに紹介致しますが、勉強の他にもEU創設の父の一人とされる、ジャン・クロード・モネの家を訪問したり、オペラガルニアの解説付きツアー、ゴッホが晩年に過ごした家を訪ねたりなどフランスならではの文化的な経験もかけがえの無いものでした。

[授業の詳細]
Team Building and Leadership in an International Context
ネゴシエーションを専門とする教授によるチームワーク、組織行動に関する基礎的な講義。日産ゴーン社長やEU等に対してアドバイザーを務めた経歴に基づいた経験談は説得力がありました。米国MBAでは米国の事例が多い(実務経験あるとされる教授陣としても、米国での経験が太宗)なので、他地域の例は新鮮でした。
Business Economics in Europe
欧州における各国の組織と行動及び独禁法を専門とする教授によるマクロ経済。表題よりはフランスの各制度の紹介(教育、産業、法制度)や欧州及びアフリカにおける競争経済の話が印象に残りました。
Monetary and Fiscal Policies in the European Monetary Union
EUのマクロ経済(Fiscal & Monetary)。EU統一のFiscal policyは存在しないが、5月に発表された事前警告を柱とする制度について紹介があり、興味深かった。教授個人的な見解としては、統一的なFiscal policyの実現はやはり、ありえないだろうとのことでした。
European Institutions and Decision Making
名前とは少々離れますが、EU内の意思(法)決定プロセスの解説。講師はEU議会議員のAdvisorを勤めています。授業内容のその他としては、EU内の組織、Commission, Council and European Parliamentの組織関係、法案がどのように提出され、過程を経て立法されるかについての講義。
European Geopolitics – Central and Eastern Europe
中東欧の地政学を専門とする教授による講義。バルカン半島が研究の中心であるためか、当該地域の話題が多かったです。なお、本題とは少々離れますが、今後の世界についてdemographicな点から強い国が影響力を増すだろうという自説を披露(①労働力を海外へ輸出し、それに対し本国からコントロールする、②ごく狭い専門領域に教育活動を集中し、それを輸出する国)。
European Roots of Some Ethical and Managerial Issues
心理学がベースにある教授。80年代のパンナムとKLMの飛行機事故の事例でのチームディスカッション。危機において、規律(あるべき姿としての未来)と過去の経験の狭間で現実を知覚していく作業を行う際に、人の性質として経験をよりどころとして過去に逃げ込みやすいという点を指摘されました。
Luxury Brand Strategic Management and International Distribution Strategies
ジョルジオアルマーニのフランス法人でCEOの経験を持つ教授による授業。Luxury Brandの歴史、ブランドIdentityの分析ツール及びそのようなブランドが持つEthicsとAestheticsの観点からの各ブランドの分析など。生徒からの質問に丁寧に対応していたこともあり、話題はやや散漫としたがフランスでは身近に感じられる話題でもあり、活発な質疑応答が交わされました。
Introduction to Diversity and Diversity Management In Europe
Internationalな環境でのManagingをどのようにするかという講義。日本人の教授との共著もあり、Toyotaにおけるネゴシエーション(Compromisingでなく100%お互いの合意を予め目指すことで、そのあとのimplementationでスムーズになる)なども紹介。また、Diversifiedされた環境をManageするIBMでの事例などのケーススタディも扱いました。
Intercultural Management
社会心理学を専門のひとつとする教授による授業。国毎の文化的差異があるユーロ圏内でManagementする際のポイントなど。フランスのビジネスにおける心理的なファンダメンタリズムと米国におけるそれの比較など興味深かったです(例:フランスでは契約に基づく関係以前に歴史的に各職種に暗黙で認められている権利意識のようなものがある、など)。
Human Resources Management
人事系を専門とする教授。Human Resourceの必要条件として①有為な人材の登用と保持、②能力開発、③企業戦略の観点からの人材配置、及びタレントマネジメントについて紹介されました。タレントマネジメント自体は欧州でやや新しい概念のようで(Owenでは既にコースが設定されている)、これからの深化が期待される分野とのことでした。
Negotiation from a European Perspective
ゲーム理論を入り口にチームに分かれての交渉に関する授業。信頼関係の醸成に応じて互いの戦略が変わってくるなど。
Management Education in Europe
各国(EU以外も含む)の高等教育制度についての比較。フランスは各界(行政、ビジネス、エンジニアリング)のトップに進むための教育課程が一元化されており、日本のように多様な大学から各界のトップが出てくる仕組みとは異なるそうです。また、ボローニャ協定以来、EU圏内における差異の標準化に方向性がもたれているとのことでした。
vandyowen
Posted byvandyowen

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